合成樹脂事業の、精肉や鮮魚、加工食品等の入った食品トレイを包装するためのフィルムである「エコラップ®バリアー」が市場の注目を集めています。この「エコラップ®バリアー」はガスバリアー性を有しており、パッケージ内の空気を食品の保護に適したガスに置き換えて包装することにより、通常2日程度だった精肉の消費期限を5日程度に延ばすことができます。現在、世界的に食品ロスの問題が注目されていますが、この「エコラップ®バリアー」は廃棄される食品の減少に貢献することが期待されており、環境保護に繋がる製品と言えます。約20年前に「エコラップ®バリアー」の開発に成功し、市場に投入してきました。当初、供給量は伸び悩んでいたものの、ここ数年では、大手スーパー等での採用が相次いでいます。
「エコラップ®バリアー」の製品ラインアップは、「エコラップ®G」と「エコラップ®BSS-WS」の2種類です。ともにガスバリア性能に優れており、従来の当社ノンバリアー製品と比較して、酸素ガスの透過度を1%以下に抑えられています。これは外部からの酸素の侵入が極めて少ないことを示しており、食品の酸化劣化を防ぐ一因になります。
パッケージ内に注入するガスの成分は、食品の種類によって酸素、窒素、二酸化炭素等の比率を調整しています。「エコラップ®バリアー」はこのガスを外部に逃がすこと、また外部からの空気の侵入を防ぐことができるため、食品が傷むのを防ぐことができます。食品の日持ちを長引かせる効果については、食品の種類にもよりますが、従来の消費期限に対してプラス2〜4日間の効果があることが確認されています。
加えて、食品の消費期限が延びることから、これまでスーパーの作業場などで行われていた食品の包装作業の時間に余裕が生じる効果も生まれています。これにより、従来は夜中に行っていた包装作業を日中のみで終わらせることができるようになり、人手不足に悩む流通業界にも貢献しています。また販売の現場からも、食品の見切りロスや機会損失が減少することによって、計画的な発注や生産が可能になったとの評価も受けています。
なお、食品トレイへの包装形態は、トレイに蓋をする形で包装するトレイトップシール包装とトレイ全体を包み込むオーバーラップ包装の2種類があります。「エコラップ®BSS-WS」はオーバーラップ包装に対応しており、「エコラップ®G」はその両方の包装形態に対応しています。
今後もわが国ではガス置換包装の普及が見込まれており、当社も設備増強等を実施しながら、社会要請に応えていきます。
特許登録第6393597号
商標登録第2668465号
商標登録第3354380号
受賞歴
本製品は2019年に(公社)発明協会主催令和元年度四国地方発明表彰において、日本弁理士会会長賞を受賞しました。本表彰は1921年開始の優れた発明を生み出した技術者を顕彰するものです。
また、(公財)かがわ産業支援財団主催の第27回芦原科学賞において、芦原科学大賞を受賞しました。芦原科学賞は高松市出身の関西電力元名誉会長である故芦原義重氏の寄付金を基金として1993年に創設され、県内産業の技術向上や振興に功績があった個人・団体を称える表彰です。
この2つの受賞は当社の発明が社会に貢献するものとして認められたものであり、とても名誉ある受賞で、今後も製品やサービスを通じて社会に貢献していく当社グループにとってその活動の後押しとなるものです。(2021年9月13日)
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表彰式の風景
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芦原科学大賞 受賞盾