サステナビリティ委員長メッセージ

当社のサステナビリティ

 当社は、2022年に創立75年を迎えました。「従業員を守り、社会に役立つ」という創業精神でスタートし、「人ひとりを大切に」「地域社会への貢献」「お客様を第一に」という経営理念のもと事業を展開し、歴史を積み重ねてきました。それはまさに従業員やサプライヤー、顧客、コミュニティとの信頼関係、また株主への対応を配慮したサステナビリティ経営と言えます。しかし社会のニーズは時代とともに変化し、その規模もよりグローバルになっています。我々は、先人が築いてきた事業基盤に胡坐をかくことなく、自身が先兵となって、未来に繋ぐサステナビリティ経営を実践しなければなりません。大倉工業の未来は、今を生きる我々にかかっている覚悟を忘れず、日々努力したいと思います。

サーキュラー・エコノミー

 今、世界中で持続可能な社会づくりの取組みが加速しています。注目されているキーワードの一つに「サーキュラー・エコノミー」があります。これは「循環型経済」、すなわち原料調達段階から再利用することを前提に設計し、従来廃棄されていたものを原料として再活用し、バージン材料を投入せず循環させていくものです。その特徴は、環境負荷低減と経済成長の両立を目指すモデルだということです。リサイクルを更に深化させ、製品のシェアやレンタル、アフターサービスを含んだ新たなビジネスモデル創出の可能性があります。ここで重要になるのは「循環視点を持つ」「製品回収網の構築」「他社との協業」「発信力の向上」です。大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とする社会システムは、気候危機や資源枯渇、生物多様性の喪失、プラスチック汚染など、地球の環境容量を超えて終焉を迎えています。我々も、この環境変化を新たな事業や成長の機会として捉え、新規事業の創出やイノベーション創出に取り組まなければなりません。

未来に向けたESG活動

 当社の事業活動を持続可能なものとするためには、その事業価値を全てのステークホルダーから認めていただく必要があります。我々の事業が社会やお客様にとって有益な事業であり、その中で会社も従業員も成長し、得られた利益を様々な形で還元できる、サステナビリティカンパニーを目指さなければなりません。その原動力がESG活動です。「環境」「社会」「ガバナンス」の変化に常にアンテナを張りながら、それらの変化を自社のビジネスや競争力の源泉とする姿勢が必要です。一人ひとりが、この視点で、自らの会社や仕事、また価値観を確認することが重要です。そして変化を恐れることなく、その先にある未来を想像しながら、ゆっくりでもいいので前へ進みましょう。

田中 祥友

取締役常務執行役員
コーポレートセンター担当兼
財務・経営管理部長兼
サステナビリティ委員長

田中 祥友

理念体系、サステナビリティへの取り組み

 大倉工業グループは、持続的発展可能な社会づくりへの貢献を目指すことが、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上へ繋がるものと考えています。
 これまでCSR基本方針『「社会から信頼される企業」であり続ける』を掲げ、変化する社会環境の中で、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)を重視した事業運営を行ってきました。今後は、2020年に特定した事業を通じたソリューション提供への重要課題「マテリアリティ」と「事業継続のための基盤」を基に、サステナビリティを経営戦略の中心とした積極的な活動を推進していきます。

理念体系

推進体制

大倉工業グループは、気候変動をはじめとした地球規模の環境問題への配慮、人権の尊重、従業員を含む全てのステークホルダーへの公正・適正な事業活動など、社会や企業のサステナビリティを巡る課題解決を事業機会と捉え、2021年CSR委員会を改め「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、2021年4月、ESG活動に関する基本計画策定などを担当するセクションとして、「サステナビリティ推進部」を新設し、取組みを推進しています。当委員会は、サステナビリティ推進担当取締役常務執行役員を委員長とし、取締役及び執行役員を委員として構成しています。このうち、取締役には社外取締役も含めることで、当社グループのESG活動が世の中の動向にマッチしているかどうかも客観的な視点でチェックし、活動を進めています。2021年は、2回の委員会を開催し、当社グループとして特定した「マテリアリティ」や「事業継続のための基盤」に関する中長期的な課題認識の共有化ならびにそれら課題解決に向けた施策に対する協議、決定を行いました。
更に、大倉工業グループのコンプライアンスを統括するコンプライアンス委員会を設置し、実働部隊であるコンプライアンス実行委員会と連携しながら、周知啓発活動や内部通報への対応等を行っております。
これらの体制のもと、取組み状況をステークホルダーに向けて、積極的な情報開示を行うとともに、継続的に改善を行いながら様々な活動を進めています。

重要課題(マテリアリティ)

マテリアリティとは「重要課題」のことで、企業活動による自社事業及び社会課題への影響度合いを評価し、優先順位をつけることで真に取り組むべき課題を抽出したものです。大倉工業グループでは以下のステップでマテリアリティを特定しました。

「マテリアリティの特定」推進STEP

  • STEP0

    自社の活動・製品・サービスとSDGsの関連性把握

    • 現状の自社の取り組みが創出する社会的価値の把握
    • 自社の活動・製品・サービスが貢献するSDGs目標の明確化
  • STEP1

    同業他社の取り組み理解と自社の今後の取り組み検討

    • 環境・社会・企業における解決すべき課題の検討
    • 同業他社の取り組みと自社の取り組みの比較から、今後の取り組み(アクティビティ)を抽出
  • STEP2

    バリューチェーン外部環境分析と自社の今後の取り組み検討

    • 環境・社会・技術面から今後の社会変化(未来像)を想定
    • 想定した未来像において自社の創出する価値は何か、今後の取り組み(アクティビティ)を抽出
  • STEP3

    マテリアリティ候補・活動テーマ候補の策定

    • STEP1、STEP2で抽出したアクティビティを取りまとめ、活動テーマ候補とマテリアリティ候補を抽出
  • STEP4

    活動テーマの重要度評価とマテリアリティの特定

    • 活動テーマごとの事業的価値と社会的価値の検討
    • 活動テーマごとに重要度評価をし、自社のマテリアリティ(重要課題)を特定

大倉工業グループのマテリアリティ

マテリアリティ

  • 脱炭素経営(気候変動対策)の推進

    KPI自社・物流のCO₂排出量
    • 自社(工場及びオフィス)からのCO₂
      排出量削減
    • 物流(出荷)の効率化とCO₂排出量削減
    • 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
    • 11 住み続けられるまちづくりを
    • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 資源循環対策の更なる推進

    KPI市場からの回収廃プラリサイクルを
    使用した製品売上げ
    • 工場廃棄物の大幅削減
    • 海洋プラスチックの削減
      使用後の廃資材等の回収、再資源化の促進
    • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
    • 12 つくる責任つかう責任
    • 14 海の豊かさを守ろう
    • 15 陸の豊かさも守ろう
  • 環境貢献製品の創出と拡大

    KPI生活サポート群環境貢献製品売上比率
    • 環境貢献製品創出の仕組み化と
      中長期目標設定
    • 機能性に優れた製品の開発及び販売
    • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
    • 12 つくる責任つかう責任
    • 13 気候変動に具体的な対策を
    • 14 海の豊かさを守ろう
    • 15 陸の豊かさも守ろう
  • CSR調達の推進

    KPIサステナブル調達制度の構築と
    調査実績管理
    • 人権等に配慮した原材料調達の仕組み
      構築と運用
    • 環境に配慮した原材料調達(グリーン調達)の
      仕組み構築と運用
    • 8 働きがいも経済成長も
    • 12 つくる責任つかう責任
    • 14 海の豊かさを守ろう
    • 15 陸の豊かさも守ろう
  • DX推進による競争優位性の確保

    KPIIT・AI技術による品質検査強化
    • 新しいデジタル技術の導入による
      生産性向上と業務改革
    • 営業活動及びマーケティングの高度化
    • より高品質で安全性の高い製品の追求
    • 8 働きがいも経済成長も
    • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • イノベーション創出に向けた研究開発

    KPI開発テーマ・特許出願件数
    • 新規事業の創出につながる
      マーケティングの強化
    • オープンイノベーションの積極的な活用
    • 8 働きがいも経済成長も
    • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
    • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

事業継続のための基盤

更に、大倉工業グループとして事業を継続していくために不可欠な基盤となる「汚染防止の徹底」「働きがいのある職場環境の整備」「地域社会との共生」「企業の信頼性・透明性の向上」の4項目を併せて設定し、マテリアリティ同様に積極的な取組みを推進していきます。

  • 企業の信頼性・透明性の向上

    KPIコンプライアンス違反・行政処分件数
    • ESG情報の積極的な開示
    • ステークホルダーとの対話促進
    • 内部統制・コンプライアンス体制の整備
    • リスクの洗い出しとBCP(事業
      継続計画)のブラッシュアップ
    • 16 平和と公正をすべての人に
    • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
  • 汚染防止の徹底

    KPI国内法令違反件数
    • 有害化学物質の適切な管理
    • 水資源の使用量削減と適切な管理
    • 3 すべての人に健康と福祉を
    • 6 安全な水とトイレを世界中に
    • 12 つくる責任つかう責任
    • 14 海の豊かさを守ろう
  • 地域社会との共生

    KPI社会貢献活動参加者数及び
    貢献活動件数
    • 社会奉仕活動、地域環境保護活動の推進
    • 地域課題解決ビジネス、
      地域活性化ビジネスへの参画
    • 地域資源の積極的な利用
    • 11 住み続けられるまちづくりを
    • 14 海の豊かさを守ろう
    • 15 陸の豊かさも守ろう
    • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
  • 働きがいのある職場環境の整備

    KPI女性役職者・女性管理職比率
    • ダイバーシティ経営の実現
    • 働き方改革による生産性向上と
      ワークライフバランスの実現
    • やりがいのある人事評価制度構築と
      人財育成制度の充実
    • 労働安全衛生の強化
    • 3 すべての人に健康と福祉を
    • 4 質の高い教育をみんなに
    • 5 ジェンダー平等を実現しよう
    • 8 働きがいも経済成長も
    • 10 人や国の不平等をなくそう
    • 16 平和と公正をすべての人に
  • 環境
  • 社会
  • ガバナンス