トップメッセージ

経営ビジョン「Next 10」において、社会課題の解決と事業の発展の両立を目指す大倉工業。創業時から貫かれた人、地域、社会への思いは今、サステナビリティ経営として受け継がれています。

  • 経営理念の中でも特に大切にしている考え方

     創業者の松田正二は倉敷紡績の関連会社である高松市の倉敷飛行機に勤務していたのですが、終戦直前の1945年7月に高松空襲に遭い、職場、そして従業員の家がすべて焼けてしまいました。松田は従業員の生活を守るとともに、高松の人たちのために何か役に立つことをしたいという思いに駆られます。そして復興住宅をつくるという志を立て、前身の四国住宅株式会社を1947年に設立しました。松田自身、滋賀県長浜市の出身であり「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方良しを旨とする近江商人の考え方が沁みついていたのでしょう。経営理念の「人ひとりを大切に」「地域社会への貢献」「お客様を第一に」はそのような当社の原点を受け継いでいます。
     祖業の延長線上にある建材事業はもとより、プラスチックフィルムを主体にした合成樹脂事業、そしてディスプレイ材料の光学フィルムをはじめとする新規材料事業の3事業についても、それぞれが社会の中で必ず必要とされるであろうとの考えから、チャレンジをし、育ててきた事業です。
     経営ビジョン「Next 10」においてもお客様の価値向上に努め、事業を通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するという強い思いを打ち出しました。その精神は各事業の製品として具現化しており、その一つには昨年来のコロナ禍における医療従事者向け等の製品があります。

  • 大倉工業ならではの技術の強み、競争優位性

     大倉工業グループはものづくりの会社であり、それも原料メーカーから仕入れた部材を加工してそれを完成品メーカーに納める、川上でも川下でもなく川中でビジネスをしているBtoBの会社です。その中で当社グループの技術的な強みは、ポリマーブレンドアロイ、有機無機ハイブリッド、重合、多層化などの材料設計開発、そして製膜、延伸、塗工、印刷、貼合、加圧、抽出などのプロセスを各種マシンで実現する加工技術にあります。これらを組み合わせることにより、お客様の求める用途、形態、機能、使用条件、コストなどのさまざまな要望に応えてきました。例えば、食品トレイ包装用のエコラップは、さまざまな機能を持たせた多層フィルムで、ガス充填を行うことで食品の消費期限を延長することができ、フードロス削減だけでなくバックヤード作業の従事者にとっての働き方改革にもつながっています。
     一方で、電子部品から食料品、建材・住環境、日用品、医薬品、情報通信、自動車までさまざまな分野・業界のお客様からのニーズに応え、製品を提供してきました。このような柔軟な対応力により、大倉工業ならばなんとかつくってくれるだろうという信頼を確立してきました。こうした強みを生かしながら、お客様からの一品一様のニーズに応え、オーダーメイドのものづくりを実践していくと同時に、そこで築いたノウハウをもとに製品を標準化し、オークラブランドとして製品化できることも大倉工業グループの強みです。
    トップシェアを持つ農業用マルチフィルムはその一例です。

  • 経営ビジョン「Next 10」でありたい姿として掲げた
    「要素技術を通じて、新たな価値を創造しお客様から選ばれる ソリューションパートナー」

     「Next 10」は私が社長に就任した2018年、新たに第六次中期計画を策定するに当たって次の10年後を見据え、ありたい姿を議論したうえで示したビジョンです。そこでは3つの注力事業領域を設定しました。まず、現在展開している合成樹脂事業、新規材料事業、建材事業ともに人々の生活に密着した製品を提供していることを踏まえた「人々の安心で快適な生活を支える事業」です。2つ目が、脱炭素をはじめとする地球環境問題に貢献したいという思いをもとにした「環境・エネルギー負荷を軽減する事業」です。そして3つ目は、今後ますます進展するデジタル化社会において新規材料事業で培った技術を更に生かしていきたいという思いから「情報通信に関する事業」としました。
     そして2019年度からスタートした第六次中期経営計画では重点取り組みとして、第五次中計までに実施した「先行大型投資案件の早期収穫」、合成樹脂事業、建材事業を中心に事業構造改革を進める「既存事業の基盤強化」、そして将来の発展を見据えた「成⾧市場・分野への投資と新たな成⾧エンジンの創出」を掲げました。ただ、2年目の2020年度初頭から新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動や人々の生活様式が変わり、当社の事業においても大きな影響を受けました。「先行大型投資案件の早期収穫」「既存事業の基盤強化」についてはほぼ計画通り進んでいますが、「成⾧市場・分野への投資と新たな成⾧エンジンの創出」についてはお客様との新たな開発案件にかかわるコミュニケーションがままならず進捗が遅れている状況です。ただ、第六次中計の最終年度に当たる現在進行中の2021年度については、合成樹脂事業、新規材料事業、建材事業ともに順調に推移しており、数値目標については計画通りの着地を見込んでいます。
     「Next 10」策定時に想定していた経済環境、ビジネススタイル、ライフスタイルは、その後、新型コロナウイルスの感染拡大、2050年を目標とするカーボンニュートラルの公表などにより大きく変化しつつあります。そのことを踏まえ、サステナビリティをベースに置き、また事業ポートフォリオの高度化を見据えた「Next 10」の再設計を行っているところです。その内容については次年度に改めて公表させていただきます。

  • 第六次中計の重点取り組みとしてもう一つ掲げた
    「ESG」の進捗状況

     大倉工業グループはSDGsに代表される社会課題やステークホルダーからの要求に対し、それらを解決しながら当社自体も持続的な成長を遂げるよう、サステナビリティ上のマテリアリティとして「脱炭素経営(気候変動対策)の推進」「資源循環対策の更なる推進」「環境貢献製品の創出と拡大」「CSR調達の推進」「DX推進による競争優位性の確保」「イノベーション創出に向けた研究開発」という6つを特定しました。
     建材事業の主力商品であるパーティクルボードは当初輸入材をチップにしたものを材料として使っていましたが、森林資源の破壊を防ぐためおよそ30年前に建築廃材をチップ化し、これを再利用する方向へと舵を切りました。大倉工業グループが早くから環境に配慮した事業展開を行っていた証左となる取り組みです。そして今回、マテリアリティの特定に当たって重視したことは、大倉工業グループの事業の中核はプラスチック製品である、ということです。非常に利便性の高いプラスチックを、更に環境や人にやさしいものとして社会に供給していく必要があります。これらの製品についてリサイクルしやすい材料に変え、製品を回収して再資源化し、環境、社会に貢献できる製品を送り出していくことが大事だと考えました。それらを具現化すべく、2021年6月にはプラスチック資源循環プロジェクトをスタートさせました。人権や環境に配慮した原材料の調達にも取り組みます。
     また、より高品質で安全性の高い製品づくり、そして生産性向上や業務改革にDXを活用し、そこで生み出された利益を更に環境に投入していくことにより環境貢献活動をスパイラルアップしていきます。そして、新規事業を生み出し、社会・環境課題に貢献していくにはイノベーション創出に向けた研究開発が欠かせません。これについては、企業、研究機関、大学などの外部の技術、知見を取り入れたオープンイノベーションを活用しながら取り組んでいきます。
     これらのマテリアリティとは別に、大倉工業グループの事業を継続、推進していくために不可欠な「事業継続のための基盤」を明確にしました。「汚染防止の徹底」「働きがいのある職場環境の整備」「地域社会との共生」、そして「企業の信頼性・透明性の向上」の4つを活動テーマとしました。前の3つのテーマについては企業として当たり前のことではありますが、これを推進していくことが、ガバナンスの向上に寄与し、ひいては4つ目の「企業の信頼性・透明性の向上」にもつながっていくと考えています。大倉工業が、社会から信頼される企業であり続けるために、マテリアリティ、事業継続のための基盤の活動を積極的に開示するとともに、ステークホルダーとの積極的な対話を進めていきます。大倉工業グループとしてはガバナンス体制を更に強化し、従業員の皆さまに働きがい、やりがいを持ってもらえるような会社を目指していきたいと考えています。
     その取り組みの一端として、2021年4月にCSR委員会をサステナビリティ委員会とし、コーポレートセンター内にサステナビリティ推進部を設置しました。同部を中心にサステナビリティ経営を更に進化させていきます。

  • 株主・投資家の皆さまに向けてのメッセージ

     大倉工業グループは今年、2022年に創立75周年を迎えます。その長い歴史においては社会、経済環境の変化に伴って幾多の困難に直面しましたが、多くのステークホルダーの皆さまからの支えをいただきながらそれらを乗り越え、さまざまな社会課題の解決にも貢献してきた75年でもあります。
     外部環境は不透明感を増していますが、大倉工業グループはこれからもお客様や社会の期待に応え、確実に成果を上げることで、社会から信頼され続ける存在であり続けなければならないと思います。私自身、ステークホルダーの皆さまの声に耳を傾け、共に歩み、成果を分かち合い、そして喜びを感じていただける、そのような会社になっていきたいと考えています。
     株主配当につきましては、持続的な成長を図りながら安定的な配当を継続していきたいと考えています。
     今後とも皆さまからのご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

中長期ビジョン

経営ビジョンNext 10

お客様の価値向上と社会課題の解決に貢献し、事業を通じて、社会・環境価値を創出する。

Next 10

注力領域

「環境・エネルギー」「ライフサイエンス」
「情報通信」と3つの領域を横断する
「モビリティ領域」

 大倉工業グループの持つ要素技術をお客様に評価され必要とされるモノへと日々深化させます。
 また、次世代の加工技術にも積極的に取り組み、新たな要素技術を獲得します。

注力領域