トップメッセージ

  • 経営ビジョンでポートフォリオ変革のアプローチを明確化

     経営ビジョン「Next10(2030)」では、ありたい姿として「要素技術を通じて、新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」を掲げました。当社はこれまで、お客様の要望される仕様に基づいたオーダーメイドのものづくりで技術力を高めてきました。そのようにして培った「材料設計技術」「加工技術」といった要素技術を更に磨き上げ、「何かあったら大倉工業に」とお客様から選んでいただける会社を目指したいという思いをありたい姿に込めています。
     その思いをふまえ経営ビジョンでは、注力する領域、目指すポートフォリオへの変革に向けたアプローチを明確にし、事業とESGを両輪としたサステナブル経営で成長を目指していきます。また、2022年からスタートした向こう3カ年の中期経営計画は、経営ビジョンの実現に向けた成長基盤の土台作りの時期と位置づけ、次のステージに向けた構造改革と積極的な成長投資、そしてESG目標を定量化した経営基盤づくりを進めていきます。
     具体的にはこの3カ年で実施する250億円の投資のうち、65%を成長分野に振り向けるとともに、環境貢献製品の拡大や開発、資源循環スキームの事業化を実現していきます。また、2030年にありたい姿を実現するためにサステナビリティの指標と目標を掲げています。中でも重要な要素として、ESGの取組みを根幹に据え、グループ子会社を含めて全従業員がその目標を理解、共有し、全てのステークホルダーとともにありたい姿の実現に向けて着実に推進していきます。

  • 中期経営計画の目標達成に向けまい進

     初年度に当たる2022年は、コロナ禍による中国経済のロックダウンにより需要が減退する一方で、地政学上のリスクの発生による資源・エネルギー価格の急騰により前年の営業利益をはるかに上回るコストアップに直面しました。売上については製品価格の改定を進めたことで増収となりましたが、コスト上昇分をカバーしきれず営業利益は減少しました。私たちは、川上でも川下でもない川中のポジションにある加工事業を行っているため、外部環境変化の影響を受けやすく対処しにくいというのが実態です。上流、下流へと幅を広げることで負のインパクトを抑え、付加価値を高める取組みを進めていかなければならないと痛感したところです。
     しかしながら、こうした厳しい事業環境の中においても、営業部門、製造部門の現場において一人ひとりがそれぞれの職務にまい進し、真摯に取り組んでくれたことは2023年以降の成果に繋がると考えており、中期経営計画の目標達成に向けて全従業員とともにまい進していきます。

  • 4つの注力領域で着実に投資を行う

     経営ビジョンで「Next10(2030)」では、ポートフォリオを変革し、成長戦略を実現していくための重点投資分野として「情報電子」「プロセス機能材料」「環境・エネルギー」「ライフサイエンス」という4つの注力分野を明確にしました。
     「情報電子」では、約65億円をかけて大型液晶ディスプレイ用光学フィルムの新工場を建設しており、今年中の稼働を目指しています。今回の能力増強分では数年内に供給不足になることも考えられ、次の増産投資に向け需要動向を注視しているところです。また、5Gとサブ6の普及に伴い需要の増加が見込める高周波低損失基板用フィルムの開発を進めており、事業化を見据えた投資のタイミングを図っています。
     「環境・エネルギー」では、当社の持つ要素技術を生かせる分野として、次世代太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池の材料の開発を進めています。2023年3月には、この開発を更に推進すべく、京都大学発ベンチャーで同電池の開発、製造を行うエネコートテクノロジーに出資しました。
     また、海外の取引先が多い機能材料分野においては地産地消を進めるため、ベトナムに新工場の建設を決めました。第1期として約20億円弱を投資し、2025年の稼働を目指し、接着剤の製造販売から始めます。その後は自動車関連、OA機器関連のフィルム加工事業の拡大を目指します。

  • 環境貢献製品の比率を高める

     次に、既存事業の質的向上、収益力強化についても進捗状況を説明します。現在当社の事業は3つのセグメントに分類していますが、このうち「合成樹脂事業」と「建材事業」の中でも生活消費財にかかわる「生活サポート群製品」は国内市場が中心であり、市場が縮小するリスクもはらんでいます。一方で、CO2削減やサステナブルをテーマにした製品へのニーズ、需要は今後ますます高まると考えており、これら生活消費財に関わる製品、事業を環境負荷軽減型に転換し、収益力を高めていきたいと考えています。そこで、環境負荷軽減に貢献する製品を「Caerula®(カエルラ)」という社内ブランドとして認定する制度を設け、2024年までに「生活サポート群製品」の50%を「Caerula®」製品に置き換えます。
     そのほか、従来5種5層までの樹脂をフィルム化できる設備に加え、新たに7種7層の設備を導入します。これによって商品をより長持ちさせることができる機能を加えられるようになるだけでなく、フィルムをリサイクルしやすくでき、環境負荷低減にも寄与します。

  • 2024年度までに2013年度比でCO2排出量を30%削減

     冒頭に述べたように、当社グループは事業とESGを両輪としたサステナブル経営で成長を目指していきたいと考えています。2021年に全ての社外取締役を含む全取締役と執行役員で構成したサステナビリティ委員会を発足し、同年の4月にサステナビリティ推進部を組織しました。同推進部のもと、ESGのそれぞれに専門部署と分科会を設置し、活動内容や進捗を見える化し、社内外に情報発信できる体制を強化しました。脱炭素社会・循環型社会の実現に向けた貢献は企業の社会的使命であり、事業を通じて環境課題、社会課題の解決に貢献すべく、サステナブル経営を実践していく考えです。
     ESGそれぞれの取組みについて紹介します。まずE(環境)についてです。当社のCO2排出量については、2030年度において2013年度比で50%削減する目標を掲げており、この中期経営計画期間の2024年度においては30%の削減を目標としています。2024年度の目標については達成のめどがついていますが、2030年度の目標を達成させるためには更に踏み込んだ取組みが必要になります。そのための手段の一つとして、2022年度より太陽光発電設備の導入を積極的に進めています。現在、6拠点で導入を実施または計画しており、そのうち3拠点については稼働済みです。6拠点の太陽光発電設備によるCO2削減量は年間約6,000t(※)であり、2022年度の実績をベースに考えると、2030年までの削減量のうちの約13%分はこの取組みによって達成できると考えています。
     加えて、設備更新の際に省エネ効果の高いものを導入していかなければなりません。たとえば、2022年には丸亀第五工場のグラビア印刷機の乾燥装置に廃熱回収システムを導入しました。今後も一つひとつの工程についてCO2削減を念頭に置きながら削減量を積み上げていきます。また、当社はTCFD提言に賛同表明をしており、現在Scope1、2について活動の方向性を明確にしています。今般、「CDP気候変動質問書2022」に回答し、Bスコアを獲得しました。更に評価を高めていくためにはScope3の取組みを推進する必要があり、そのための道筋を定めているところです。
     また、当社はプラスチックフィルムを主力製品としているため、廃棄プラスチックフィルムの削減対策については、フロントランナーとして取り組むべきテーマであると考えています。ただ、市場に流通したプラスチックフィルムは食品などの異物付着が多いため、再生利用が非常に難しい状況です。そこで当社は、市場に流通したプラスチックフィルムの中で一般消費財としてではなく生産財として使われている、できるだけきれいなプラスチックフィルムに着目し、その廃棄プラスチックフィルムを回収し再生利用するスキームを確立しました。最初に取り組んだのが農業用マルチフィルムです。生産者の皆さまのご協力を得て、廃棄するポリエチレン製のハウス用フィルムを引き取り、リペレット化した後、一定割合で混合し、農業用フィルムに再生しています。2022年には、農地に敷くマルチフィルムとして「エコカルマルチ®」を市場に投入し、好評を得ています。こうしたプラスチックの再利用、省エネ設備、太陽光発電の導入実績が認められ、2023年4月に「かがわ脱炭素取組優秀賞」を受賞することができました。
    ※CO2排出係数(2021年度四国電力排出係数(調整後))は0.532(kg-CO2/kWh)を用いて算出

  • 地域社会に根差した商品開発も進める

     次にS(社会)についてです。大倉工業グループは、2022年10月に「サステナブル調達方針」を制定し、ガイドラインを策定しました。また、同時に「パートナーシップ構築宣言」を公表しました。人権を尊重し、安全、品質、環境を確保しつつ、サプライチェーンを構成する関係先との共存共栄を図っていきます。
     中でも、様々な方たちが活躍できる場を設けるとともに、多様性が組織や風土にもたらす可能性をふまえ、ダイバーシティには積極的に取り組んでいかなければならないと考えています。当社は24時間稼働で交代勤務のある製造業であることから、男性社員の比率が多くを占めています。そこで、当社の将来を担う人材として、女性も活躍できる職場づくりを推進しています。
     地域社会との協創にも取り組んでいます。コロナ禍では、香川大学と協働し、患者、医療従事者の感染を起こさないことを目的に、飛沫拡散を防止できる内視鏡検査システムを開発しました。また、当社独自の技術で植物から有効成分を抽出できる手法を確立しました。香川県の県木であるオリーブの葉やまんのう町で有名なひまわりの廃棄部分から抗酸化作用などの有効成分を抽出し、地元自治体や生産者の方と商品化に向けて取り組んでいます。
     2023年にボランティア休暇制度も導入しました。有給休暇制度とは別にボランティアに参加する際に取得できる特別休暇制度です。本社のある丸亀市などでは、積極的にボランティア活動に参加していますが、当社は関東から九州まで事業所を展開しており、そうした活動を全国的に広げていくべく、当制度により従業員の社会活動参加を支援していきたいと考えています。
     G(ガバナンス)については、2022年に客観的な立場から当社の経営状況を監視していただくために社外取締役を増員するとともに、社外取締役を中心とした「指名報酬委員会」を発足しました。企業の信頼性・透明性を高め、当社のSDGs活動の積極的な開示やステークホルダーとの対話を進めているところです。当社グループの取組みについての問い合わせが増え、手応え感じていることから、より一層ガバナンスの強化と経営品質の向上に取り組んでまいります。

  • 女性分科会を設置し、女性管理職の比率向上を目指す

     経営ビジョン「Next10(2030)」を実現させるためには人材育成が最重要課題であると考えています。目標の達成には、イノベーションを起こすことのできる人材の発掘・育成や事業運営の推進を担うことのできる次世代リーダーの育成、既存業務の効率化・IT化を推進していくためのITリテラシー向上など、取り組むべき課題が多くあり、そのための研修プログラムの充実を図っていきます。ITリテラシーの向上では、現場主導で業務効率化に向けた改善が図れるよう、簡易にソフトを作成できるノーコードプログラムの研修に力を入れているところです。また、今年度は特に次世代を担う管理職にフォーカスしたプログラムを稼働します。
     女性活躍のテーマにおいては、女性の管理職や役付者の比率を向上させるため、2022年より社会ワーキンググループを発足しました。同グループの下、女性従業員のみで構成される女性分科会を設置し、意識調査や女性活躍に向けた研修プログラムを検討するなど、女性管理職を増やすための仕組みづくりや、スキルアップ、キャリアアップを目指してもらうための風土改善に取り組んでいるところです。

  • 職務を通じて社会貢献と自己実現に努める

     グループ子会社12社を含め、2,206名(2023年4月末時点)の従業員が日夜、社訓である「日々向上」「創意工夫」「同心協力」を行動指針として職務を通じて社会への貢献と自己実現に努めています。当社は「従業員の生活を守り、社会の人々の生活に役立つこと」という創業精神を企業の存在意義・価値として受け継いでいます。そして、当社グループの事業は、従業員をはじめお客様、お取引先、株主、投資家、地域社会など多くのステークホルダーに支えられて成り立っています。今後も「人々の安心で快適な生活を支え、社会から信頼される企業であり続ける」ことを事業経営の根幹に据え、情報開示と対話を積極的に行い、いただいたご意見を事業経営に反映させながら、成長路線へと舵を切っていきたいと考えています。
     今後とも皆さまからのご指導・ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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