トップメッセージ
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経営ビジョン「Next10(2030)」の
目標完遂こそが私のミッションです大倉工業グループは、2030年を見据えて策定した経営ビジョン「Next10(2030)」(以下、Next10(2030))を目指すべきゴールとして、様々な施策に取り組んでいます。私は2024年まで合成樹脂事業部長として事業のマネジメントを担ってきましたが、中期経営計画(2027)(以下、当中計)のスタートに合わせて社長に就任し、会社全体の経営の指揮を執る立場になりました。Next10(2030)で掲げた「要素技術を通じて、新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」というありたい姿を実現し、最終年の2030年の達成目標である売上高1,200億円、営業利益100億円を完遂することが私のミッションであると考えています。
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中期経営計画(2024)では
未来への種まきと
構造改革を実施しました中期経営計画(2024)(以下、前中計)では、コロナ禍の影響が尾を引いただけでなく、ロシア・ウクライナ紛争による資源・エネルギー価格の高騰、中国経済の減衰などの外部環境の変化が当社にとって大きな逆風となりました。厳しい事業環境下においても、将来の成長に向けた種まきとして、3年間で計画通り約230億円の設備投資を実行できました。また、合成樹脂事業においては不採算事業からの撤退と高付加価値製品への選択と集中を図ることで、より筋肉質な事業体質を構築することもできました。
このように前中計ではやるべきことはしっかり行ったものの、思わぬ環境変化や想定外のトラブルに見舞われ、残念ながら売上高や営業利益、ROEなどの数値目標は未達となりました。当中計では、前中計で明らかになった課題へ対処するとともに、OKURA VIETNAMと新設した大型液晶ディスプレイ向け光学アクリルフィルム製造ラインの本格稼働、また、加速する脱プラスチック化への対応も確実に行い、更なる成長を目指します。 -
「絆を育み、輝く未来を」という
スローガンに込めた想い2025年からスタートした当中計では、「絆を育み、輝く未来を」というスローガンを掲げました。私がこれまで歩んできた会社人生の中で実感したことは、自分一人では何もできないということです。37歳でグループ会社の社長に就任した際、先輩幹部社員と充分に対話を重ね、互いの人間性や仕事の価値観を理解し合うことで、組織の一体感を醸成できたことは、私にとって非常に貴重な経験となりました。
周囲との関係が深くなればなるほど良い仕事ができるとの想いから、一番大好きな言葉である「絆」をスローガンに取り入れました。従業員をはじめステークホルダーの皆さまと「絆」を育みながら、当中計の目標を達成するとともに、会社の夢だけでなく、従業員一人ひとりの夢を実現させていきたいと考えています。
ここで改めて当中計の位置づけについてお話しします。
当中計は、「土台作り&基盤強化」のステージとして前中計でまいた種を確実に実績化へと結びつける「事業領域拡大」のステージとし、最終年の2027年には売上高930億円、営業利益70億円、調整後ROE7.5%を目標に据えました。
事業環境に目を向けると、脱炭素化や脱プラスチック化に向けた3R(リデュ-ス、リユース、リサイクル)推進の流れは加速すると予想され、今後の世界情勢についても更に不確実な状況は続くと想定しています。このことから、事業を正しい方向へ導くため、これまで以上にアンテナを高く張って良質な情報をキャッチすることが重要と考えています。
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中期経営計画(2024)で投資した
案件の確実な実績化に取り組んでいます当中計では、基本方針に「成長戦略の着実な遂行」「事業領域拡大に向けた海外事業の推進」「研究開発機能の強化による新製品の創出」の3つを掲げました。
まず「成長戦略の着実な遂行」についてお話しします。前中計では、新規材料事業において2つの大きな設備投資を実行しました。1つは、大型液晶ディスプレイ向け光学アクリルフィルムの増産を目的とした新ラインへの約60億円の投資です。2024年は品質トラブルなどが発生し順調な稼働には至りませんでしたが、2025年はフル操業でスタートしています。安定操業を続けることができれば、当中計初年における収益の計画数値は大幅に上回ることが期待されます。この大型液晶ディスプレイ向け光学アクリルフィルムは、偏光板保護用フィルムとして使われていますが、デジタルサイネージの普及や液晶テレビの大画面化などにより、フィルムの広幅化要求は今後も高まってくることが予想されます。その流れに後れを取らないためにも、新たな設備投資の検討も積極的に行っていきます。
もう1つは、接着剤製品の製造・販売を行うOKURA VIETNAMの設立で、投資額は17億5千万円です。2025年1月から垂直立ち上げを行う予定でしたが、営業ライセンスの取得に時間を要し、稼働が1年後ろにずれ込んでいます。当面は稼働に向けた準備をしっかりと進め、早期の事業化を目指します。まずは、モビリティ向けを中心に東南アジア、北米、欧州などの世界市場に販路を拡大していきたいと考えています。 -
2030年に海外売上比率30%を目指します
次に「事業領域拡大に向けた海外事業の推進」についてです。現在、当社グループの売上高のうち海外比率は17%程度ですが、国内人口の頭打ちを考えると先行きの国内需要は減少することが見込まれるため、今後も成長が期待される海外市場により注力していく必要があります。
具体的な戦略については、まずは、海外向け製品の拡販です。大型液晶ディスプレイ向け光学アクリルフィルムの販売先は中国がメインであることから、稼働が順調に進めば自ずと海外売上比率も高まってきますがそれだけでは不十分です。そこで、北米・中南米に展開しているライフ&パッケージ製品やモビリティ・半導体市場向け高機能フィルムの拡販に注力していく必要があります。そのための推進体制として2025年1月に合成樹脂事業部内に市場調査、パートナー探索、新規市場開拓を担う海外事業推進部を設置しました。合成樹脂事業部内での足場固めをした後、将来的には全社的な組織へと昇格させたいと考えています。足もとの海外売上比率は17%程度ですが、大型液晶ディスプレイ向け光学アクリルフィルム新ラインの本格稼働や、接着剤事業からスタートするOKURA VIETNAMへの合成樹脂事業におけるフィルム製品の生産移管(例えば、液体輸送用容器)などを進めることで、当中計では20%を、Next10(2030)の最終年である2030年には30%を目指します。 -
医療・医薬分野が新たに成長しつつあります
「研究開発機能の強化による新製品の創出」については、「情報電子」「環境・エネルギー」「ライフ&ヘルスケア」「モビリティ」の4つの成長領域へ重点的に投資を行います。その中でも期待しているのが「ライフ&ヘルスケア」の医療・医薬分野です。細胞培養用シングルユースバッグ、手術支援ロボット用ドレープがその一例であり、この分野だけで2030年までに10億円規模に成長すると見込んでいます。現在当社は、合成樹脂、新規材料、建材3つの事業部を有していますが、4つの成長領域の中から第4の事業部をR&Dセンターより創出したいと考えています。
研究開発体制を更に強化すべく、2025年1月にR&Dセンターと合成樹脂事業部の商品開発部を統合しました。これにより、社内における研究開発情報の一元管理を図るとともに開発のスピードアップを進めていきます。また、池袋から都心部に移転する東京支店内に開発部門のマーケティング機能を移設することで新たな製品開発、新事業の創出に注力します。 -
PBR1倍達成に向け増配と
政策保有株式の縮減を実施します財務戦略における目標として、調整後ROE7.5%を掲げています。当社の資本コストが7.0~8.0%であることから、早期にROE8.0%の達成を目指します。また、現状の株価から計算されるPBRは0.7倍程度であるため、市場が求めるPBR1倍以上の達成を早期に実現したいと考えています。
これらの数値の実現のためには、当中計においてステークホルダーの皆さまの期待を上回る成果を残すとともに、その先を見据えた事業の成長性を示すことが重要です。加えて、得られた利益の具体的な配分方針を明確に示すことが必要だと考えています。
配当方針はこれまで配当性向30%以上を基本方針にしていましたが、2024年11月に新たにDOE3.0%以上という方針を加えました。さらに当中計の3年間においては、より一層の株主還元の拡充のため、DOE3.0%相当の普通配当に加え、0.5%相当の特別配当を実施し、合計DOE3.5%水準の配当を行います。また、政策保有株式については段階的に縮減を進め、2030年までに連結純資産比率10%未満を目指します。 -
四国森林資源の利用促進に注力します
非財務戦略における環境負荷低減への取組みは引き続き注力していきます。前中計ではケミカルリサイクルやマテリアルリサイクル、バイオマス原料を用いた製品化などについて踏み込んだ検討を行いましたが、現状では経済合理性との両立が難しく大きな成果には至っていません。社会がパラダイムシフトするタイミングを見極めながら投資の判断を行うべく、水面下で準備を粛々と進めているところです。
一方、建材事業は、当社において事業とSDGsが融合したモデル事業と位置づけています。主力のパーティクルボードは、回収された建築廃材を主原料として製造され、住設関係の部材に使用されています。この用途を更に広げていくことでサーキュラーエコノミーに寄与していきます。また、新たに手掛ける四国地域材を用いた木質構造材料事業によって炭素貯蔵ビジネスが加わり、将来的に木材を伐採した後に植林も行うことで、炭素貯蔵から炭素吸収までを担うことが可能になります。
そのため、四国地域材を用いた木質構造材料事業についても環境にマッチした事業と位置づけており、新工場については2026年4月からの稼働を予定しています。 -
成長戦略の遂行に必要な人材を育て、
確保します人的資本の充実は、Next10(2030)を達成させるための重要な要件だと考えています。私が大切にしている「絆」という言葉にもあるように、優秀かつパッションのある仲間との同心協力がなければ、この計画の実現は困難であると感じており、今まで以上に人材への投資を行っていこうと考えています。具体的には、中長期的な戦略を遂行するために必要な人材ポートフォリオを明確化し、現有人材とのギャップ分析により、それぞれの人材に適した教育・研修を実施していきます。
当社グループ社員は仕事に真面目に取り組む生え抜き人材が多いのですが、事業環境が不確定で厳しいなかでも成長を継続させていくためには、多様性のある人材が必要と考えています。そのため、2024年からキャリア採用や海外出身者の採用を増やしており、こうした流れをますます加速させるとともに、様々な背景、特性を持った人材が適材適所で能力を発揮できる組織体にしていきます。
私は、財務部門出身であり、数字がどのように生み出されるのかを実際に経験したいと考え、現場業務に携わりました。業務プロセスを理解し、経営全体の流れを把握できるようになったことは、私にとって貴重な経験でした。従業員にも、様々な事業を経験することで、広い視野と多角的な視点を養ってほしいと考えています。
そして、会社が元気であるためには、何より従業員が元気でなければなりません。活力ある従業員がいてこそ健全な会社ができ、正しい経営を行うことができます。そのため、従業員一人ひとりが大倉工業で働くことに誇りを持ち、働きがいを感じられる組織をつくり、会社の目標達成と個人の目標達成が連動する、モチベーションの高い組織を目指します。 -
プリンシプルとベクトル、
そしてスピードを大切に私は経営の価値観として、プリンシプル(原理原則)、ベクトル(方向と勢い)、スピード(速さ)の3つを大切にしています。まず、何に取り組むにしてもプリンシプル、会社でいえば経営理念や社訓、基本方針に当てはめたときにそこから外れていないか否かを判断します。次に、ベクトルについては、従業員が一生懸命エネルギーを費やして仕事に向き合ったとしても、それが正しい方向に向かっていなければ良い結果は残りません。会社が進むべき方向を明確に示し、従業員が正しい方向に進んでいるか否かを確認しながら事業を展開していきたいと考えています。プリンシプルとベクトルが定まれば、あとは「時は金なり」ですので、スピード感を持って進めたいと思います。
最後に、当中計で掲げた「成長戦略の着実な遂行」「事業領域拡大に向けた海外事業の推進」「研究開発機能の強化による新製品の創出」の3つの基本方針を全社一丸となって取り組むことで、株主・投資家の皆さまの期待を上回る結果を残したいと思います。今後とも皆さまからのご支援、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。